標的市場
4.標的市場の明確化
自社のお客様のいる場所、コミュニケーションする場所を明確にしないといくらお金があっても足りません。マーケットセグメンテーションからターゲッティング、そしてポジショニングへの流れを理解しましょう。
標的市場の明確化の手順
セグメンテーションという言葉も、ターゲッティングも、ポジショニングも良く知っているけれども、
実際にそれぞれがどのように関係して戦略へと睦びついていくかをきれいに頭の中で理解している人は
多くないかもしれません。まず、ここでは簡単にここからの進め方を整理します。
- 市場の把握:あなたの会社が存在する市場と構造、大きさを知る
- 市場の分析 :どのような切り口で分類できるか。自社の特徴を考える。
- セグメンテーション:どう分類するか決める
- ターゲッティング:その中のどのセグメントで勝負するか決める。
- ポジショニング:どう差別化し自分らしさをつくり競争に勝つか考える。
これらが終わったら、マーケティングミックスから戦略プログラムを抽出する工程にはいります。ではこの流れに沿って考えましょう。
市場の把握
市場とは商品やサービスやハードウエアやソフトウェアやそのグループなどが取引される概念的な場所であり、その需要を特定のユーザーグループのニーズ、期間、環境で特定したものが市場規模です。日本の市場のような大きな国や地域のレベルから、家電や食品などの業界レベル、TVや冷凍食品などの商品や用途レベル、子供用携帯電話市場やインターネット対応テレビ市場などレベルや切り口や定義はさまざまです。ですから、あなたの会社が存在する市場を明確に定義する事はなかなかむずかしいかもしれません。ポイントはあなたの会社のドメイン(活動領域)にある市場を大枠で捉えて、規模スケール感を掴む事です。まずはインターネットであなたの業界の市場について入手可能な様々な資料を見て調べて見ましょう。それらの資料は市場と捉えたい、捉えるべきという意向が反映された形でグルーピングされているかもしれません。新規参入など、場合によっては市場の規模と魅力を調査会社等で詳細に調べる事もあるかもしれません。
- 市場規模の考え方
市場規模は必ずしも決まった数字ではありません。ある条件から導かれたある商品やサービスの実際の需要がどの程度あるかを示した数字です。市場規模を調べてみましょう。また市場を考える際には次のような視点からの考察が必要になってきます。- 最小市場規模
- 潜在的市場規模
- 予測市場規模
- マーケティング活動で刺激できる範囲
- 拡大可能な市場と拡大が不可能な市場
- マーケットシャア(市場占有率)
- マーケット浸透率
- マーケットシェア浸透率
将来の市場規模
マクロ経済を考え、そのなかでの産業界の景気予測を考慮し売上げ予測を立てますが、どのように将来の需要予測。市場規模を見通すのかを少し考えてみましょう。内部での調査によって作成する場合も在りますし、リサーチファーム等に依頼する場合も在るかもしれませんが、将来の市場規模は基本的に人々が言った事、行う事、行った事などから判断されます。
- 購買者の意識調査から
- 営業への調査から
- 専門家の意見から
- 過去の売上げから
- ダイレクトマーケティングでテスト
- 企業の需要予測と売上げ予測
市場の規模を考える中においては、現在の市場規模と将来の市場規模を考え、その中で企業がどれだけのマーケティング活動を行う事によりどの程度の市場を占有することができるかという事を見極めるのが売上げ予測を立てるという事にもなります。但し、市場規模を予測するいおいて完全に正解と言えるものはありませんし、ここで上げた項目を全てクリアにすればよいというものではありません。可能な情報を収集し、市場規模の現在とこれからの予測、自社のシャアと売上げ予測の難易度などを大枠で理解しましょう。
- 市場の分析
市場をさまざまな切り口で眺め、自社が市場のなかのどのような位置にいるかを考えます。
まずはあなたの会社の現状分析の際に使ったデモグラフィックデータ、ファーモグラフィックデータ、
サイコグラフィックデータ、行動分析等によって市場全体の傾向をつかみます。
現状分析の際にすでにその傾向が見て取れているも知れませんが、特に市場全体と自社の違いに注目しましょう。
- デモグラフィックの切り口
3の現状分析でみたようにデモグラフィックでは以下のような項目です。- 性別、世代別、年齢
- 地理的(都市部/郊外/田舎)
- 学歴や職業
- 家族構成や年収
- ファーモグラフィックでの切り口
B2Bの場合です。同じように、市場はどうなっていて、自社はどうなっているかを確認してみましょう。- SIC(産業コード)
- 職種
- 従業員数
- サイコグラフィックでの切り口
心理的(サイコグラフィック)で見た場合はどうでしょうか?あなたの会社のお客様に特徴的な特徴があるでしょうか?- ライフスタイル別
- 趣味や余暇の使い方
- 興味のあること、セールの利用
- 行動的、購入履歴での切り口
例えば行動的、購入履歴で見た場合はどうでしょうか?例えば購買チャネルとしての電話の使用比率が極端に高いとか、
購入量は頻度に何かしらの特徴があるでしょうか?購買の動機や季節的な特徴がみてとれるでしょうか?- RFM分析(Recency/Frequency/Monetory)
- デシル分析
- 購入チャネル
- 購入の際に利用する方法。電話、Fax、Web(PC・携帯)、郵送等。最近はWebの比率が非常に高くなっている。
- 購買プロセス
- なぜ(購買動機)/何(求める機能、効用)/どこ(場所)/いつ(季節、時期)/誰(購買者と購入プロセス)/どのように(購買量、頻度、手段、慣習)
- サービス・商品での切り口
市場はどのような商品分類にわけれれていてどのような構造になっているか、それに対して自社はどのような商品分類に分かれていてどのような構造になっているかを比較して見ましょう。- サービス・商品分類、グループ
- 売上げ
- マージン
マーケットセグメンテーション
市場をさまざまな角度、切り口で眺めたら、セグメンテーションします。マーケットセグメンテーションは市場を形成する様々なグループを区別し、各標的市場に対して適切な製品とマーケティングミックス(マーケティングツールの組合せ)を開発するために行う作業です。ですから市場のニーズ、自社の特徴、強みを考慮してマーケティングミックスを構成した際に、それが適切な市場の適切な範囲に効果的にリーチするように市場を細分化しなくてはいけません。つまり自社のマーケティングミックス(マーケティングツールの組合せ)が最大限に機能し自社にとって優位になるようなわけ方をする事が求められます。漠然と軸で切って、できたセグメントからターゲットを選ぶという訳ではありません。
自社にとって意味を成さなかったり、細かすぎたり、実行不能な理論上のセグメンテーションには意味がありません。
- セグメントの特定方法
細分化する方法はいくつか存在しますが、以下の3つに大別されます。- デモグラフィック グループ
- ニーズグループ
- 行動グループ
- マーケットセグメンテーションのポイント
従ってセグメンテーションは以下の要件を満たしている事が必要です。- 測定可能
- 実質的
- アプローチ、アクセス可能
- 差別化が可能
- 実行可能
- ビジネスとなる市場規模があること
繰り返しになりますが、最終的にセグメントをきめる基本的な基準は、市場の本質的な魅力と自社の経営的な強みを発揮できる事です。
ターゲッティング
細分化したら、細分化したマーケットのどのセグメンテーションに参入するか決定します。複数になる場合もありますが、その場合は、それに応じて複数のポジショニングとマーケティングミックスが存在する事になりますから注意しましょう。最終的にセグメントをきめる基本的な基準は、市場の本質的な魅力と自社の経営的な強みを発揮できる事です。ですからその為にも成長や収益をもたらすコアコンピタンスが何かを考える必要があります。
- ターゲッティングにおけるセグメントの評価基準
最終的にセグメントをきめる基準は以下のような要件を満たしている事が必要です。- セグメンテーションの要件を満たしているか?細かすぎないか?
- 市場の本質的な魅力があるか?
- そのセグメントの規模は十分か、成長性はあるか?
- の成長性や規模は自社に適しているか?
- そのセグメントは自社のミッション・ビジョン・目標と合致しているか?
- 自社の経営的な強みや技術力はそのセグメントに向いているか?強みを発揮できるか?
- 現在の顧客プロファイルとの共通性が高いか?(既存市場の浸透を図る場合)
- ターゲットセグメント選択のパターン
ターゲッティング、標的市場の決定には以下のような3パターンが考えられます。
- ①集中的マーケティング
単一のマーケティングミックスで単一のセグメントに集中する。1つのマーケティングミックス(商品やサービス等のマーケティングツールの組合せ)で1つのセグメントにフォーカスしてマーケティング活動を行う事です。
- ②差別的マーケティング
複数のセグメントを選択し、複数のマーケティングミックスによってアプローチを行うのが差別的マーケティングです。この場合には、複数のセグメントに対して複数のマーケティングミックスを用意する事になる為、費用もかかりますし、考え方やプロセスが複雑になる可能性があります。
- ③無差別的マーケティング
市場全てに単一のマーケティングミックスという事になりますので、基本的にセグメンテーションを行わないというものです。現代の多様化したマーケットに機能させるのは難しいといわざるを得ません。
- 長期的なセグメント展開プラン
他の競合に打ち勝つ、マーケットシャアを拡大する為には限りある経営資源を最大限に活かす為の長期的なセグメント
の考え方と展開プランも大切です。競合の先を読み戦略性と機動力をもってマーケテティング活動を長期的視野に
立って展開する必要が出てきます。セグメントの魅力度や競争の状態からみて長期的な方向性を決める際に、
大きく5つの方向性が考えられます。- 撤退
- 収穫
- 維持
- 成長
- 参入
- 商品/市場マトリクス
成長機会を発見し、それぞれのリスクやメリットを確認するツールとして商品/市場マトリクスがあります。現在の市場を拡大するには大きく4つの方向性があります。- 市場浸透
- 新商品開発
- 新市場開発
- 多角化
- テストマーケティング
ターゲッティングを行った標的市場に、新たなコミュニケーションを行う際には、テストマーケティングを行う事が有効です。テストマーケティングにより限りある費用で最大限のレスポンス、つまりプロススペクトを獲得する事が重要になります。
ポジショニング
標的市場がきまったら市場の中での競合状況と自社の位置づけ(ポジショニング)を考えましょう。ポジショニングは選択した標的市場の中であなたの会社のサービスや商品を如何にターゲットに印象付けるかという事です。つまりはあなたの会社のサービスや商品の特徴や優位性を他と差別化し、明快でシンプルなマーケティングメッセージを創り上げる事です。
- 考えるポイント
今までの現状分析、市場の把握、セグメンテーション、ターゲッティングという一連の流れの中で発見したポイントを抑える事、POPやPODをしっかりと頭に置く事が大切です。復習ですが、POP/PODとは、- POD (Points-of-Difference)
その商品、サービス、企業に特有な価値。他企業にはないブランド差別化のポイント。 - POP(Points-of-Parity)
その商品、サービス、企業に特にユニークではないが、そのマーケットに存在する為に必須なポイント。あるいは、競合のPODを打ち消す為のもの。
- POD (Points-of-Difference)
- ポジショニング軸の決定
次にポジショニング軸を決めましょう。ポジショニングの軸はお客様へ伝えるべき自社の特徴を他社と比較した形で明確且つシンプルに言い表せるように決めます。別の言い方で言うと「○○といって何を思い浮かびますか?」といった質問に対してお客様があなたの会社を思い浮かべるようなサービスや商品の位置づけを決めるわけです。決めた自社のポジションは、後にマーケティングミックスを考える上でも強調すべきポイントとなります。自社の位置付けをする為の2軸は基本的に相関性の無い独立した軸を置きましょう。例えば年齢と覚えやすさ等の相関する軸を設定すると他との差別化ができず意味の無いポジショニングになってしまします。以下はポジショニングのイメージです。
- ポジションを決める
軸を決めた上で、競合他社の取り得る戦略としては大きく以下のような方法があります。- 現在のポジションを強化する方法
- 空いているポジションを獲得する方法
- 競合相手をディポジショニングする方法
- あなたの会社のサービス・商品のメッセージとなるポジショングを決めたらそれを強化するマーケティングミックスを作り、そのメッセージを的確且つシンプルに標的市場に伝えましょう。また、めまぐるしく変化する環境の中においてはどんなポジショニングでも永久に続く事はありませんので注意が必要です。企業はつねに自社のポジショニングを見直す必要があります。
